教授挨拶

病理診断科・病理部長 中島 正洋
令和6年5月吉日
病理診断科・病理部長

中島 正洋

 この度令和6年度よりこの長崎大学病院病理診断科・病理部長を拝命いたしました。長崎大学原爆後障害医療研究所腫瘍・診断病理(原研病理)の主任と病院の地域病理診断支援センター長を兼務しています。本年度より、病理診断科・病理部に新設された呼吸器・肝胆膵・骨軟部 病理部門・岡野 慎士教授と乳腺センター(予定)・山口 倫教授とともに、長崎大学病院の病理診断業務を担当いたします。この改組により、それぞれの専門性を活かし、より質の高い病理診断を提供できる体制となりました。言うまでもなく、病理診断は患者様に適切で高度の医療を提供するために必要不可欠です。高齢化社会に突入している日本では、がん(悪性新生物)は死因の1位で、年間約38万人(令和4年)ががんで亡くなっていて、長崎県では年間10万人あたり約380人ががんで亡くなっています。昨今のがん治療の進歩は、「がんゲノム医療」という、これまで治癒が望めなかった進行がんに立ち向かうための武器を手に入れました。がんには個性があり、その個性に応じた適切な治療を行うことが必要であることが解っています。「がんゲノム医療」は、がんのゲノム情報(がん組織や血液から遺伝子全体を調べ、治療法を知るための元となる)から、患者様一人一人の体質や病状に合わせて、最適な治療法を選択して提供する医療です。専門病理医は病理診断を的確に行うことのみならず、「がんゲノム医療」においては分子病理専門医として、ゲノム情報を得るためのがん組織を適切に管理し、がん組織を顕微鏡で調べてその状態を主治医に伝えるという重要な役割を担当しています。我々の病理部では、原研病理と地域病理診断センター所属の病理医3名(専門医2名と修練医1名)を含めて、計8名の病理医と14名の臨床検査技師が、協働しています。病理診断科としてがん医療というチーム医療の一翼を担うため、職員一同、全力でミッションに当たって参ります。