頭のかたち外来

※頭蓋矯正ヘルメット療法は公的医療保険が適用されない自由診療です。

赤ちゃんの頭のゆがみを心配され、受診される方は少なくありません。
頭のゆがみには、手術が必要となる「頭蓋骨縫合早期癒合症」という病気もありますが、多くは「位置的頭蓋変形」という病気ではない状態です。
頭のかたち外来では、赤ちゃんの頭の形に関する相談、診断と治療を行っています。

頭蓋骨縫合早期癒合症について

赤ちゃんの頭蓋骨は成人と異なりいくつかの骨に分かれていますが、10歳過ぎに成人と同様に一体化します。これは、小児期は脳が急速に成長し、頭蓋骨も脳の成長に合わせて拡大する必要があるため、このような仕組みになっています。
頭蓋骨縫合早期癒合症は、骨と骨が通常より早く閉じてしまう病気で、頭のかたちがいびつになったり、脳の成長に影響することがあります。
お子さんの頭の形が気になる場合は、早めにかかりつけ医へご相談ください。

位置的頭蓋変形について

生まれて間もないころに同じ方向を向いて寝ることや、妊娠中のさまざまな要因により、頭蓋にゆがみが生じる状態です。この状態は病気ではなく、脳機能の発達に影響が出ることは基本的にありません。位置的頭蓋変形のゆがみについては形に応じて「斜頭症」「短頭症」「長頭症」の3つに分けられます。


斜頭症

斜頭症(しゃとうしょう)は、後頭部が斜めにゆがんでしまい、左右非対称になっている状態です。主な原因は、向きぐせや胎児期の子宮内環境による後頭部への圧力とされています。ゆがみが進行すると耳の位置や顔面が左右非対称になってしまうこともあります。そのような場合には、治療が必要になることもあります。


短頭症(絶壁頭)

短頭症(たんとうしょう)は、後頭部が丸くならず平坦になってしまう状態です。一般的に絶壁とも呼ばれます。主な原因は、赤ちゃんが仰向けに寝ることで後頭部に圧力がかかることによるとされています。




長頭症

長頭症(ちょうとうしょう)は、頭部が通常より縦に長く伸び、後頭部が著しく突き出ている状態です。主な原因は、横向きに寝ることによって側頭部に圧力がかかることとされています。長頭症は、病気による変形の特徴と似ているため、注意が必要です。



頭のゆがみの予防方法

赤ちゃんの頭のゆがみ度合いを大きくしないために、家庭でできる予防方法があります。

寝かせる向きの工夫

赤ちゃんがいつも同じ方向ばかりを向いて寝ていると、片側の後頭部に圧力がかかりやすくなります。
授乳のたびに頭と足の向きを交互に変えて寝かせる、話しかける方向を変えるなど、日常の中で向きぐせを調整してみてください。
まずは、寝ている赤ちゃんの顔の向きを観察してみましょう。

タミータイム

タミータイムは首座りの練習やうつ伏せ練習だけではなく、頭のゆがみを予防する方法としても有効です。分娩施設から自宅に戻ったら、1日2~3回、3~5分程度から始めてみてください。必ず保護者の方が見守り、オムツ替えの後や目が覚めた直後など、機嫌のよい時間に行いましょう。※顔を自由に動かすことが難しい時期のうつ伏せ寝は窒息の危険があります。寝かせる際は必ず仰向けにしてください。

頭蓋矯正ヘルメット治療

頭のゆがみが強い場合、家庭での工夫だけでは改善が難しいことがあります。このような場合、頭蓋矯正ヘルメットを用いた治療が選択肢となることがあります。

頭蓋矯正ヘルメット治療とは

乳児の頭の形に合わせて3Dプリンタで作製した専用ヘルメットをおおよそ6か月程度装着し、頭蓋の成長方向を整えることを目的とした治療方法です。頭蓋骨の出っ張り部分に対し、それ以上突出しないように制限をかけます。これによって、相対的に凹んでいる部分の成長を誘導します。この治療の仕組みから、治療は頭蓋骨が柔軟な時期に限られます。治療の開始は生後2~7か月頃が一般的です。赤ちゃんの成長のペースは一人ひとり異なるため、継続的なメンテナンスが必要です。


ヘルメット治療の流れ


<Step1> エックス線検査

病的な頭蓋変形(頭蓋骨縫合早期癒合症)でないか確認します。頭蓋骨縫合早期癒合症の場合は保険診療による治療を行います

<Step2> 適応診断

診察では、視診・触診を通して、変形の診断と重症度(レベル1~4)を判定し、診察時の月齢を考慮した上でヘルメット治療の適応を判断します。軽度の変形またはヘルメット治療を希望しない場合は、家庭での予防指導を行います。

<Step3> 3Dスキャンによる頭部の撮影

3D画像撮影解析装置を用いて、お子さまの頭部を上部・前後左右から2~3回ずつ撮影します。

<Step4> ヘルメット作成

3Dスキャナー撮影データをもとに、現在の変形した形から、矯正後の最終的な頭の形を想定したオーダーメイドのヘルメットを作成します。

<Step5> 治療スタート

治療申し込みから約2週間でヘルメットが届き、装着開始します。基本的には入浴以外の1日23時間、6ヶ月前後の装着を推奨しています(個人によって期間が異なります)。

<Step6> 定期的な診察

約4週間ごとに診察します。ヘルメットの装着状況や矯正状況、頭の成長状態を確認し、ヘルメットの再調整を行います。治療終了時に3Dスキャン検査を行います。

<Step7> 治療終了

治療の終了は、頭蓋変形の改善度、頭蓋成長の度合い、装着時間の状況などを基に判断します。

治療期間・回数

治療期間 半年程度
治療回数 8回程度

費用

総額 56万円程度
(内訳)
初回診察は保険診療で乳幼児の医療費助成の対象となります
へルメット作成費(Qurum Fitを使用):555,500円(税込)
定期診察(ヘルメット装着後、通常6回):ヘルメット作成費に含まれる
※回数はお子さまの成長により前後する場合があります

リスク・副作用

  • 個人差はありますが、生後4か月未満では改善がみられることが多い一方、生後9か月以降は治療効果が得られにくい場合があります。
  • ヘルメットの装着により、発赤・かゆみなどの皮膚トラブルが生じることがあります。
  • 装着による不快感や頭痛を訴える場合があります。

受診について

本院は予約制です。
受診を希望される方は、まずはかかりつけ医等の医療機関を受診し、医療機関から本院への紹介・予約をお取りください。

外来担当医


 
午前 (初診)
樫山 和也
赤司 理菜
午後  


 


 


(頭のかたち外来)
樫山 和也
赤司 理菜
 



担当医師の紹介

樫山 和也|長崎大学病院 形成外科 教授

【経歴】
2003年:長崎大学医学部卒業、長崎大学医学部 形成外科学教室入局
2004年:日本赤十字社 長崎原爆病院 皮膚科・麻酔科
2005年:山口県立総合医療センター 形成外科
2006年:愛媛県立中央病院 形成外科・顎顔面外科
2007年:宮崎社会保険病院 形成外科
2009年:長崎大学医学部医歯薬学総合研究科 入学
2011年:長崎大学医学部医歯薬学総合研究科 卒業
2012年:医学博士(長崎大学)取得
2012年:長崎大学医歯薬学総合研究科 原研医療 研究員
2013年:長崎大学 形成外科 医員
2014年:豊見城中央病院 形成外科・顎顔面外科・美容外科・美容皮膚科 医長
2019年:長崎大学 形成外科 助教
2021年:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学分野 助教
2022年:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学分野 准教授
2024年:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 形成再建外科学分野 教授
【資格】
・日本形成外科学会 形成外科専門医


【赤ちゃんの頭のかたち外来開設にあたって、樫山医師よりコメント】

赤ちゃんの頭蓋骨は成人と異なり、いくつかのパーツに分かれていて、それぞれの骨は非常に薄く、やわらかいです(生後すぐにはわずか数ミリの厚さしかなく、我々の手の指の爪くらいのイメージです)。成長するにつれ、隣同士の骨は徐々に一体化し、硬くて分厚い大人の頭蓋骨(成人の頭蓋骨の厚さは1~2センチ)へと近づいていきます。そのため、頭蓋骨がやわらかい生後数か月の間は、「向きぐせ」によるゆがみ(位置的頭蓋変形)が生じやすい状態です。
赤ちゃんの頭の形がゆがんでいることを気にして受診される方のうち、大多数はこの位置的頭蓋変形であり、その場合、脳の発達や成長には影響はありません。位置的頭蓋変形とは、赤ちゃんがいつも同じ方向を向いて寝ることや、母親のお腹の中でのさまざまな要因(多胎妊娠など)で、後頭部が平らになったり左右非対称になったりする状態です。この状態は病気ではなく、脳機能の発達に影響が出ることは基本的にありません。
変形が軽い場合は、赤ちゃんが成長し頭が大きくなったり自分で寝返りするようになったりする中で自然に改善する場合があります。寝返りするようになる前は、頭部の向きを工夫したり、タミータイムと呼ばれる見守り下でのうつ伏せの時間を増やしたりすることで改善が見込めます。

しかしながら、変形が強くなった場合には、耳やおでこ、目、頬、あごの形にもゆがみが生じることがあります。
このような場合、先ほど述べた方法だけでは治りにくく、大人になってもゆがみの名残が残ってしまうこともあります。こうしたケースでは、ヘルメットを使った矯正治療の効果が報告されています。海外では1900年代から、日本では2012年から保険外の診療として行われており、効果を示す研究もあります1)。当院はこれまで、保険が使えないヘルメット治療を希望される方には院外の他施設を紹介していました。しかし、通院の利便性などから、院内でヘルメットを作成・処方し、矯正治療を行うことが可能となりました。
稀ではありますが、「骨の病気」など、何らかの疾患によって頭の形がゆがんでしまうことがあります。隣同士の骨が異常に早く一体化してしまう病気(頭蓋骨縫合早期癒合症)がその代表で、この場合、頭蓋骨が大きく成長できず、脳の発達に悪影響を及ぼすことがあり、状況によっては早期の治療が必要となることがあります。頭の形に気になる点がある場合には、病気によるものかを判断するため、医師による評価が役立つことがあります。

1)Kajita H, Tanaka I, Komuro H, Nishimaki S, Kusakawa I, Sakamoto K. Efficacy of cranial orthosis for plagiocephaly based on 2D and 3D evaluation. Arch Plast Surg. 2024;51(2):169 -181. doi:10.1055/a-2222-1494.


赤司 理菜|長崎大学病院 形成外科

【経歴】
2019年:佐賀大学医学部卒業
2021年:長崎大学医学部形成外科教室入局
2022年:長崎みなとメディカルセンター形成外科
2025年:長崎大学病院形成外科


【赤ちゃんの頭のかたち外来開設にあたって、赤司医師よりコメント】

本外来では、頭蓋の変形に関する適切な評価を行い、お子様の頭の形に関するご家族の不安や悩みに寄り添いながら、専門的かつ丁寧な医療を提供してまいります。ヘルメット治療では、3Dスキャナーを用いた評価により、頭蓋形状を客観的に把握し、一人ひとりにあった治療方針をご提案いたします。装着開始後は継続的なフォローアップ体制を整えており、保護者の方とともにお子さまの健やかな成長を支えてまいります。あたまの形について気になることがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。


【お問い合わせ】
長崎大学病院 形成外科 外来
TEL:095-819-7200(代表)
[平日 8:30~16:30]